【人事に聞く】気になる5つのコト(一問一答+α)

f:id:k02shu:20200405161205p:plainどの会社にも、人事と呼ばれる職種があります。

 

ですが、人事部門に所属する社員の人数は、あまり多くないケースがほとんどでしょう。そして、人事部門の機能として、人事評定や給与など社員の進退や労働条件に影響を与える部分が多くあるため、会社の中で少し浮いた存在だと思われることもあります。

 

今回の記事では、学生や会社の同僚からよく聞かれる5つの質問に、東証一部上場の大手メーカーに勤める現役人事担当者が答えます。

 

 

 

質問① 社員の給与や評価を操作できるの?

 

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人事

一担当者が恣意的に操作するようなことは絶対にできません。

 

 

よく冗談半分で同僚から「給料上げてよ~」や「S評定にしてください!」などと言われることがあります。ドラマなどの影響でしょうか、人事部門に所属している人間が社員の人事評価や給料を操れるような物言いをされてしまうのです。

 

しかし実際には、そういった給与などの項目を企業の経営方針に沿って管理する機能はあっても、一担当者が好き勝手に操ることなど許されません。もちろん、担当者クラスではなく、役職者であっても同様です。

 

ちなみに、一定規模の企業であれば、社員の評価は直属の上司が決定しているケースがほとんどです。我々人事は、個別の人事評定に口出ししたり恣意的に操作したりするのではなく、あくまでも人事評価の枠組みを策定したり、制度に基づいた適切な人事評定が為されていない場合のかじ取りを行っているのです。

 

 

 

質問② 企業の情報収集に便利なサイトは?

 

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人事

openworkというサイトをおススメします。

 

 

openwork:(https://www.vorkers.com/

 

筆者の就職活動を思い返してみると、やりたい事が定まっておらず、手あたり次第に企業の説明会に参加しエントリーシートを提出した記憶があります。就職活動をしている学生さんの中には、筆者と同じ感覚の方がいるかもしれません。

 

ある程度業界研究や企業研究が進んでくると、いわゆる第1志望群が定まり、その中から最終的に入社する企業を決めることになります。企業に求めること(就職活動の軸)は十人十色ですから、最後の決め手も一様ではありませんよね。

 

最後の決め手の情報収集の方法としては、OB訪問、会社説明会、面接での質疑などありますが、上っ面だけの情報しか得られないことも多々あります。就活生の前に出てくる企業の人間は、自身の会社を良く見せたいと思っていますからね。

 

そこでおススメしたいのが、openworkというサイトです。こちらのサイトを利用するには、アカウントを作成する必要がありますが、その手間をかけるだけの情報が詰まっていると思います。

 

具体的には、特定の企業について、在籍中の(あるいは在籍していた)方が「組織体制・企業文化」「入社理由と入社後のギャップ」「働きがい・成長」「女性の働きやすさ」「ワーク・ライフ・バランス」「退職検討理由」「企業分析[強み・弱み・展望]」「経営者への提言」「年収・給与」という9つのカテゴリで投稿している口コミを見ることができます。

 

この口コミが、かなり生々しく赤裸々に書き込まれており、最後の1社を決めるための情報収集に役立つと思います。特に「年収・給与」の口コミを見ると、「新卒〇年目で年収〇〇円」であるとか「昇格には〇〇が条件で、給与は〇〇円上がる」といった内容が散見され、OB訪問や会社説明会では聞きづらい情報が手に入ります。

 

ただし、あくまでもネット上の情報ということには変わりありませんので、参考情報として活用してくださいね。

 

質問③ 内定って辞退していいの?法的に問題はないの?

 

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人事

入社日直前に内定辞退するなど、よほどのタイミングでない限り、法的にも問題ありません。

 

 

企業が内定を出し、応募者が受諾する行為にはどのような法的意義があるのかご説明します。

 

一般的な採用/就職活動においては、①企業による入社者の募集、②応募者による応募または採用試験の受験、③企業による採用内定通知の発信という過程を踏むこととなります。

 

これらはそれぞれ、①労働契約申し込みの誘引、②労働者による申し込み、③使用者による契約の承諾であると過去の判例において判断されています。判例という言葉を用いましたが、企業が行う採用内定通知自体については実は法律に明確に定められていないのです。

 

上記の通り、判例によれば、内定通知は労働契約の申し込みに対する承諾であると解されています。最終的に応募者が受諾するか否かによらず、内定通知により試用労働契約または見習社員契約といった位置づけの労働契約が成立すると判示されています。

 

少し難しい言葉が続きましたが、つまりは、内定通知の時点ですでに応募者と企業の間で労働契約が結ばれていると解釈されるといことです。従い、通常の退職のステップを踏めば問題なく内定を辞退できます。

 

なお、退職については民法に記載があり、退職予定日の2週間前までに申し出ることで法的にも問題なく退職(労働契約の解約)することができます。

 

これらを踏まえると、入社予定日の2週間前までに申し出れば、法的に問題なく内定辞退をすることが可能と言えるでしょう。

 

 

 

質問④ 人事ってどんな仕事?

 

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人事

一口に「人事」と言っても、いくつかの領域があります。ここでは、一般的に人事部門に属している機能についてお話しします。

 

 

企業ごとに、人事部門の大きさや位置づけが異なるため、当然その機能にも違いはあります。ここでは、「人事」という名称にかかわらず、どの企業であっても共通して存在するであろう大括りの機能について、概要をご紹介します。

 

-組織・人事

社内の人材をうまく配置する(異動させる)機能です。また、人より上位の括りである組織の新設や統廃合も行います。人材の活用や組織の改革は、経営に直結する役割のため、役員などの経営層との密なコミュニケーションが求められます。


-採用

社外から人材を採用する機能です。学生の採用(新卒採用)や中途採用のため、会社説明会や面接等を行うなど、他の機能に比べて人前に出ることが多いため、人事=採用というイメージを持たれがちです。

 

-評価

社内の人材を評価する機能です。優秀な人材を採用して配置しても、会社として適正な評価をし処遇を与えなければ、その人材のモチベーションが下がってしまいます。優秀な人材が、素晴らしい成果を持続的に出すことができる環境を作るためには、非常に重要な機能と言えましょう。


-人材育成

社員のスキルアップやキャリアアップに向けての研修等に関する業務を行います。新入社員のための導入教育などが分かりやすい例です。このような研修の企画立案や、あるべき組織体に向けての特定の階層ごとの教育を実施します。また、各職場で必要とされる専門性を身につけさせるための機会創出を行います。

 

-労政(労使関係)

労働組合との交渉などに関する業務を行います。労働組合との交渉というのは、いわゆる団体交渉など対応を指します。春の賃上げ交渉(春闘)は、よくニュースで取り上げられています。

※労働組合が存在しない企業においては、社員代表との対応に置き換わります。


-給与・厚生

社員に支払う給与・賞与や福利厚生に関する業務を行います。給与の計算がメインの業務で、お金を扱うためミスは許されません。最も重要な機能と言えるでしょう。ただし、他の機能に比べ自動化し易い(=作業が多い)業務のため、昨今ではアウトソーシングしたり、自動化の仕組みを構築したりと、社員が実際に手を動かしている企業は少なくなってきている印象があります。

 

質問⑤ 人事の専門性って何なの?

 

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人事

最低限、労働関連法規と労務管理の知識が求められますが・・・

 

 

仕事を進めて行くうえで、労働基準法などの労働関連法規を最低限抑えておく必要があります。なぜならば、これらを知らずに人事の各種施策や業務を進めると、法律違反になってしまうことがあるからです。

 

ただし、これらの知識は抑えていて当然(もしくは、業務を行う都度しっかりと下調べをする)のものです。関連法規を抑えたうえで、一般的なビジネスパーソンに求められるコミュニケーション力や論理的思考力などが求められてきます。

 

昨今では、人事機能における作業的な業務は自動化やアウトソーシングされる傾向にあります。そのため、これまでそこに費やしていた人員を、より高度な企画的業務や経営に関わる重要な施策に動員することができるようになっています。

 

その結果、より経営者に近い視点での人事戦略が求められてきているのです。様々な職がAIに奪われるという話が現実味を帯びている昨今でも、「戦略人事」としての機能はそう簡単に人間の手から離れることはないでしょう。