【文系学生必見!】研究や卒業論文のテーマの決め方:実践編

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本ブログでは、過去に「研究や卒業論文のテーマの決め方」について記事にまとめたことがありましたが、今回は「じゃあ、具体的にどうやって考えていけばいいの?」という疑問に答えるような、より実践的な内容をご紹介したいと思います。

 

過去記事では「そもそも研究・卒業論文とはなにか」についてわかりやすくまとめていますので、一度ご覧になってから本記事を読まれることをオススメします。

 

 

 

 

前回のおさらい

 

過去記事の内容をまとめると、次の通りです。

 

「研究は、先行研究からの積み重ね」ということを念頭に置きながら、過去の関連文献を読み漁る。その領域の全体像を意識しながら、まだ言及されていないこと(=穴)を探し、それを埋めるように自身の研究テーマを設定する。ただし、その研究テーマは、理論的にも実務的にも意義がある、と言うことができるようなものであることが望ましい。

 

これを読まれて「研究や卒業論文の概念はもうわかった、もうそれはいいから、具体的にどうすればいいかを教えてほしい」と思った方も多いかと思います。

 

本記事では、筆者がオススメする研究や卒論のテーマの組み立て方を順序立ててご説明していきます。

 

文系の研究の基本的な"型"

 

まずは、これからあなたが行うであろう「研究」には、"型"があることを知っておく必要があります。その"型"を考えながら、フレームワークを埋めていくような感覚で思考を進めることで、完成形をイメージしやすくなり、かつ、全体的に収束しやすくなります。

 

その"型"とは、よくある文系の論文の基本的な章立てを見れば一目瞭然です。

 

タイトル 説明
第1章 序論

研究の背景や目的、リサーチクエスチョン、調査方法、特色や意義、論文の構成などを述べる。

第2章 文献レビュー

関連する過去の文献や論文、理論を、その分野の学術的流れや歴史なども含めて要約し、批判的に検討する。用語の定義などもここで。

第3章 調査

詳しい調査背景とその調査結果をまとめる。事実を淡々と述べる。

第4章 分析と考察

第3章の調査結果を第2章の流れ(理論)に沿って分析し、考察する。

第5章 結論

ここまでのことを簡単にまとめ、リサーチクエスチョンへの回答を述べる。含意と課題も述べる。

参考文献

論文中で引用した文献を全て記す。

口頭発表・発表論文

研究内容を学会などで口頭発表した場合や雑誌等に掲載した場合は記す。

謝辞

研究の支援をしてくれた周りの人々に感謝の言葉を述べる。

 

ここで気づくことがあります。それは「先行研究をレビューするのに1つの章を割いている」ということです。研究や論文において、いかに過去の研究を把握した上で自分がどういうポジショニングで研究をしているかが重要となることがよくわかりますよね。

 

過去の記事でも述べましたが、やはり、文系の研究を進めるにあたって最も大切なことは「先行研究を網羅的にレビューし、その上で抜け落ちている視点を指摘し、その穴を埋めるように自身の研究が領域に寄与すること」と言うことができます。

 

ですので、まずあなたがやらなければならないことは、研究をしようと思っている学問領域の先行研究を読み込むことでしょう。

 

しかし、ただ無闇に読んだところで、なかなか収束に向かわないのも事実です。では、どのようにすればよいのでしょうか。

 

ここで研究の「独自性」を考える

 

過去記事では、これから行われる研究について「新規性」と「独自性」が必要ということをお話ししました。実は「独自性」を考えることが、研究テーマ決めを収束させる近道となり得るのです。

 

今一度よく思い返していただきたいのですが、そこらの人にはないような、あなたにしかない研究リソースをお持ちではないでしょうか?

 

たとえば、実家が会社や、お店、施設などを経営している、あるいは経営している人と親しい、バイト先やインターン先の少し偉い人と親しい、なにかの団体やクラブに属している、SNSでは有名人である、アーティストとして活動している、動画配信をしていてファンも多い、ティーチングアシスタントをしている、出身が海外であり気軽に戻れる、海外にホームステイ先がある、付き合っている病や障碍がある、などなど。

 

上記はほんの一例に過ぎませんが、いかがでしょうか。活用できそうな研究リソースはありそうでしょうか。もし、ご自身に思い当たる節がなければ、指導教員の研究分野の本が研究室にたくさんある、など他者の研究リソースも思い出してみましょう。

 

中国人留学生の例

 

たとえば、私の研究室には中国人留学生がいましたが、当然のごとく彼女は、日本の大学で論文を書かなければならないという状況に置かれていました。日本語も危うい彼女が日本での研究において優位性を発揮するために、研究室の誰しもが「中国というリソースを使うべき」とアドバイスをしていました。

 

それは、中国に戻って、そのフィールドで研究をすることであったり、日本と中国を比較することで何かを理解しようとすることを指します。

 

筆者は生まれも育ちも日本ですが、彼女のように中国を調査のフィールドとして研究することは、かなりハードルが高く、かんたんに真似できることではありません。このようなところに、彼女は研究の独自性を見出したのです。

 

元プロ野球選手の例

 

また、有名人・芸能人の方で、ある程度お仕事をされた後に、有名私立大学の大学院で学び直す、といったことがよくあると思います。その方たちの論文をみてみると、たとえば、元プロ野球選手であれば、現役プロ野球選手に対してアンケート調査を行った、というものがあり、「プロ野球界の人脈という研究リソース」を存分に活用した研究を行っています。これは、元プロ野球選手でなければ、なかなか難しい研究ですよね。

 

 

このように「独自性」や「自身の研究リソース」から思考をスタートさせることが、研究のテーマ決めの第一歩となると筆者は考えています。

 

 

 

リサーチクエスチョンを立てる

 

先ほど、章立てのお話しをした際に、表の中にチラっと「リサーチクエスチョン」という言葉を出してしまいました。なんのことだろうと思った方もいるかと思います。

 

リサーチクエスチョンとは、かんたんにいうと「その研究で明らかにしたい問い」です。研究とは大きなプロジェクトと捉えることができますが、私たちも人間ですから、熱心に取り組んでいるなかで没頭し過ぎて、目的を見失い、脱線してしまいそうになることも多々あります。

 

論文の読み手も同様に、膨大な研究結果を読んでいくなかで、ふと「この研究ってなにをしたくてやってるんだっけ?」と脱線しそうになります。そこで、論文の冒頭に、この研究で明らかにしたい問いを明示的に記しておき、研究結果を述べた後、最後に、冒頭に記した問いへの回答をもって研究をまとめる、ということをします。 

 

リサーチクエスチョンを細分化する

 

リサーチクエスチョンは、最も大きな1つの問いである「メジャー・リサーチクエスチョン(MRQ)」と、それを細分化した約3つの「サブシディアリー・リサーチクエスチョン(SRQ)」で構成されることが多々あります。

 

わかりやすくいうと、大きな問い(MRQ)に答えるために、その問いを大体3つくらいに分割し、それぞれ(SRQ)に回答することで、大元の大きな問いの回答への助けとする、というものです。

 

 

独自の研究リソースを意識しつつ、それを使って明らかにできそうなことをイメージしながら、リサーチクエスチョンを考えてみてください。MRQは、素朴な疑問をシンプルな一文で表現すればOKです。たとえば「YouTuber は、いかに競争優位性を築いているか?」のような具合です。

 

なお、リサーチクエスチョンは一度決めたら貫くものではなく、研究を進めていくなかで、状況に合わせて柔軟に変更していくことが求められます。

 

ちなみに、社会学系の筆者の考える面白い研究とは、「今まで、○○だと思われていたけど、調査してみたらわかったが、実は○○であった」というような、今までの「当たり前」を覆すような研究です。

 

このような問いの立て方、思考、ものの見方については、過去にこんな記事を公開しています。

 

 

そして、文献を読み漁る

 

仮のリサーチクエスチョンが決まれば、それについてすでに書かれていそうな文献を探し、今までの研究では、どんなことが言われていて、どんなことが言われていないのかを精査していきます。もし、目ぼしい文献があれば、その文献の参考文献リストを閲覧し、芋づる式に関連文献を探していく方法がオススメです。

 

このように文献を読み進めていくなかで「きっとこれは引用するだろうな」という部分に付箋を貼ったりして、すぐに参照できるようにしておくと良いでしょう。また、そういった文献は、すぐに自身の論文の参考文献リストに書けるように、各学会や大学、研究室規定のフォーマットで文献名をメモしておくと、なお良いと思います。

 

お察しの通り、ここで読み漁った先行研究内容を網羅的にレビューし、まとめたものが、論文の第2章の「文献レビュー」の内容となります。

 

おわりに

 

実は「文系 卒論 テーマ」のようなキーワードで本ブログにアクセスしてくださる方が増えているため、これについてちょっと詳しく説明をしてみました。

 

よく「まずは研究テーマから考える」といった助言がありますが、それではなかなか収束しないため、「独自性」から考えはじめ、仮の研究テーマを決め、先行研究レビューをしながら柔軟に研究テーマを更新していく、という手順がオススメ、ということを、文系の研究の基本的な進め方を絡めながらお話ししてきました。

 

本記事が、みなさんの研究活動の一助となれば幸いです。