【人事に聞く】退職代行サービスを使ってはいけない理由

しごと

退職代行サービスというものをご存じでしょうか。ここ最近、20~30代を中心に流行っているというニュースをよく見かけます。このサービスは、退職のための手続きを利用者と勤務先企業との間に立って代行するというものです。

今回の記事では、退職代行サービスを使ってはいけない理由について、東証一部上場の大手メーカーに勤める現役人事担当者の見解をもとにご説明致します。

※なおこの記事では、退職代行サービスを行っている個別企業について述べることはありません。

 

退職代行サービスとは?

数万円程度の利用料金を支払った利用者(退職希望者)と、利用者の勤めている企業との間に立って、本来利用者が行うべき退職に関する一連の手続きを代行するサービスのことを指します。

サービスを提供する企業により代行内容は様々ですが、一般的には次のような手続きを利用者に代わって対応します。

  1. 勤め先への退職連絡(退職届の提出)
  2. 退職手続き内容の確認
  3. 退職手続き書類の作成指導・勤め先への提出
  4. 貸与備品の返却

 

また、退職代行サービスを利用するメリットとして、サービスを提供する企業が謳っているのは次のような事項です。

  • 会社との連絡不要
  • 出社不要
  • 家族にばれない
  • 有給休暇を使いきれる
  • すぐに退職できる

 

<理由その1>円満に退職できない

サービス利用者は、必ずと言っていいほど円満に退職できません

勤め先企業からすれば、素性の知れない人(退職代行サービスの担当者)からいきなり連絡があるわけですから、当然いい気はしませんよね。また、本来退職者本人と直接行う手続きを、1人余計に噛ませて行うわけですから、ややこしくなってしまいます。

このような事情から、人事としては「なぜ直接申し出てくれないのか」と退職者に対して不信感を抱いてしまうケースが散見されます。

また、ほとんど場合、代行者からの連絡の後、本人が出社を希望することはないでしょうから、職場の業務引き継ぎにも支障が出てしまいます。そのため、職場の人からもいい印象は持たれません

<理由その2>コスパが悪い

サービスの利用料金は、2~5万円程度が相場のようですが、非常にコストパフォーマンスが悪いです。

よく考えていただきたいのですが、代行している内容は基本的には、①勤め先への退職連絡、②退職手続き内容の確認、③退職手続き書類の作成指導、④貸与備品の返却だけです。

この行為に数万円の価値があるでしょうか?

①は電話を一本入れるだけ。

②は手続き内容の説明を聞くだけ。

③は数枚の書類への記入を手伝うだけ。

④は貸与物を郵送するだけ。

人事の立場からすれば、無駄遣いとしか思えません。

<理由その3>代行が成立しないリスクがある

そもそもこの退職代行サービスは、弁護士資格を持っていない企業が提供する場合には、単なる使者・連絡役としての力しか持ちません。

※弁護士事務所が提供している退職代行サービスについては、この限りではありません。

つまり、退職代行者が連絡をしたところで、本人確認できないことを理由に、勤め先企業の人事担当者が取り合わないことや、退職の申し出として受理しない可能性が大いにあるのです。

また、退職の申し出は受理したとしても、そのあとの手続きについては直接本人としか行わないというケースもあります。そういった場合に、単なる使者・連絡役(弁護士資格を持っていない企業のサービス)であれば、何も代行することができないのです。

 

<使ってはいけない理由まとめ>

その1~その3を読んで察しがついた方もいるかも知れません。

そうです、冒頭に紹介した退職代行サービスを利用するメリットとして謳われている項目は、そもそも一つも成立しない可能性があるのです。

「会社との連絡不要」、「出社不要」については、その3で述べた通り、代行者の連絡が退職の申し出として受理されず、結局自身で電話やり取りをしたり、出社して書類に記入したりといったことが起こり得ます。

「家族にばれない」、「有給休暇を使いきれる」については、代行者が勤め先に対して、忖度し配慮する旨を伝えるわけですが、代行者は単なる使者・連絡役ですから、企業が従うとは限りません。

最後の「すぐに退職できる」についても、これまで述べたメリットが成立しない以上、満足した形ですぐに退職できるとは言えないのではないでしょうか。

退職をご経験されたことのない方にとっては、分かりにくい部分かも知れませんが、そもそも退職の手続きというものは、難しいものではありません。数万円を払って、代行を依頼するほど煩雑な手続きは一切ないのです。

また、「円満退職などできなくてもいい」、「職場の人にどう思われようが気にしない」という方もいるかも知れません。しかしながら、これは気にするべきことです。

一般的には、同業界や同職種への転職がボリュームゾーンを占めますので、退職後の新たな企業でのコミュニティにて、前職の人とかかわる可能性が少なからずあります。そのため、転職先の会社でもよくない評判が広まってしまうリスクを孕むことになるのです。

加えて、「退職」という会社人生の一つの節目を良くない思い出にしてしまうことは、精神衛生上よくありません。しっかりと自分の口で、退職を申し出ましょう。

ブラック企業での例外パターン

さて、これまで退職代行サービスを使ってはいけない理由を説明してきましたが、例外となるケースがあります。

それは、勤め先がかなりのブラック企業で、例えば次のような状況に陥っているケースです。

  • 未払い残業代が発生している
  • ハラスメントが横行しており、1日でも早く出勤をやめたい
  • 有給休暇等の労働者の権利を侵害される恐れがある

 

このように適正な状態にない企業に勤めている場合には、弁護士に退職代行を依頼することで、スムーズな退職をサポートしてもらえることでしょう。

ただし、こういった違法性のある企業を相手取る場合には、あえて退職代行を依頼せずとも、費用をかけずに、各都道府県労働局が提供する個別労働紛争解決制度(厚生労働省HPはこちら)を利用することも1つの方法ですのでご紹介しておきます。

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