【文系学生必見!】研究や卒業論文のテーマの決め方

学生

大学でゼミや研究室に所属するようになって、はじめてぶつかる壁がこの「自身の研究や卒業論文のテーマを決める」というものだと思います。

ゼミ面接時には、「こんなことに興味があります!」で入ることができたのに、実際に研究テーマ決めの時期になると、何度も何度も指導教員と考え直し、あやふやなまま研究が進んでいく、なんていうこともよくある話です。

今回の記事では、どんな研究テーマ/卒論テーマを設定すれば指導教員に認めてもらえるのか、そのヒントとなるお話をしていきたいと思います。

 

そもそも「研究」とは?

「研究」と言われ、どのようなイメージを持つでしょうか。新聞やニュースなどでは、ある研究について「今までに誰も行ってこなかった、全くもって新しい研究!」などと大々的に取り上げることもしばしばあります。そういったものを見て、研究=革新的な大発明のようなイメージをもっている方も多いと思います。

しかし、研究とは、誰も思いつかないような突拍子もない新しいことをやってのけることではありません。研究とは、積み重ねです。その学問領域において、まだ足りていないところを自身が補うように研究をするイメージです。

これを実現するためには、下記のようなことに注意をして研究テーマ決めをしていく必要があります。

研究には「新規性」と「独自性」が不可欠

あたりまえかもしれませんが、これからあなたが行う研究には、新規性と独自性が必要です。

説明
新規性 まだ誰も行っていない研究、前例のない新しい研究
独自性 あなたならではの工夫がある研究、あなたがすることに意味がある研究

ただ、これは突拍子もなく新しいことを言う、ということではありません。では、どのようにして新規性や独自性のある研究テーマを生み出せばよいのでしょうか。

研究とは先行研究の積み重ね

冒頭でもお話したように、研究とは(先行研究の)積み重ねです。各自が突発的に新たな研究をしはじめてしまうと、その学問領域は進展しなくなってしまいます。(積木をイメージしてみてください。)

そうならないためには、「自身の研究は、過去のこういった議論のなかの、ここに位置付けられる」と言うことができるようなポジショニングを考えなければなりません。

自身の学問領域の先行研究を網羅的に調べる

そのためには、まずは自身の研究予定領域の先行研究を網羅的に調べる必要があります。今までの研究者たちは、どんなことを言ってきて、どんなことを言えていないのか、に注目して文献を読み漁っていきます。

基本的には、ある書籍や論文を把握し終えたら、参考文献の項目に着目し、芋づる式に関連文献を探していくことがオススメです。また、日本の文献だけでなく、海外の文献にも注目する必要があります。

おそらく、どの文献にも、その研究がこれまでの研究のどこに位置付けられるかが明記されていると思いますので、そこにも注目し、どんどんマッピングをしていきましょう。

文献レビューを通して先行研究の穴を探す

先行研究を精査していき、まだ言われていないことを探します。実は、ここが最も難しく、反対に言えば、その穴さえ見つけてしまえば、研究も論文もあとは「作業として辛抱強く進めていけばいい」となります。

ただ、ここで重箱の隅をつつくような小さな穴を指摘してはいけません。単純に、他の研究者から「そんな小さなこと言ってるの?」と興味を持ってもらうことができませんし、自身でも研究をしていてつまらなくなると思います。

先行研究のなかでも、「これまでの研究では○○という点には触れられてこなかった。」というような文言があることが多いので、それを真似して考えてみましょう。

理論的含意と実務的含意を考える

さらに、研究には意味や意義がなければなりません。これをアカデミックの領域では、「含意(がんい)」と呼びます。(「インプリケーション」と呼ばれることもあります。)含意を書くことで、自身の研究の価値を明示することができます。

この「含意」には、基本的に、「理論的な含意」「実務的な含意」の2種類があります。どのような研究においても、その研究のどんな点に理論的/実務的な含意があるのか、答えを用意しておかなければなりません。実際に、卒業論文を書く際にも、最終章「結論」の中で、触れることになると思います。

説明
理論的な含意 今まで言われてきた理論に対して、本研究がどのように貢献したのか
実務的な含意 アカデミックな側面のみならず、本研究は実務(社会、ビジネス、日常・・・)にどのように貢献するのか

上記のように2つに分けてそれぞれ論じることが難しい場合は、「含意」としてひとまとめに書く場合もあります。 

 

ここまでのおさらい

ここまでの内容をまとめると、次の通りです。

「研究は、先行研究からの積み重ね」ということを念頭に置きながら、過去の関連文献を読み漁る。その領域の全体像を意識しながら、まだ言及されていないこと(=穴)を探し、それを埋めるように自身の研究テーマを設定する。ただし、その研究テーマは、理論的にも実務的にも意義がある、と言うことができるようなものであることが望ましい。

これを読まれて「研究や卒業論文の概念はもうわかった、もうそれはいいから、具体的にどうすればいいかを教えてほしい」と思った方も多いかと思います。

後半では、筆者がオススメする研究や卒論のテーマの組み立て方を順序立ててご説明していきます。

文系の研究の基本的な”型”

まずは、これからあなたが行うであろう「研究」には、”型”があることを知っておく必要があります。その”型”とは、よくある文系の論文の基本的な章立てを見れば一目瞭然です。

タイトル 説明
第1章 序論 研究の背景や目的、リサーチクエスチョン、調査方法、特色や意義、論文の構成などを述べる。
第2章 文献レビュー 関連する過去の文献や論文、理論を、その分野の学術的流れや歴史なども含めて要約し、批判的に検討する。用語の定義などもここで。
第3章 調査 詳しい調査背景とその調査結果をまとめる。事実を淡々と述べる。
第4章 分析と考察 第3章の調査結果を第2章の流れ(理論)に沿って分析し、考察する。
第5章 結論 ここまでのことを簡単にまとめ、リサーチクエスチョンへの回答を述べる。含意と課題も述べる。
参考文献 論文中で引用した文献を全て記す。
口頭発表・発表論文 研究内容を学会などで口頭発表した場合や雑誌等に掲載した場合は記す。
謝辞 研究の支援をしてくれた周りの人々に感謝の言葉を述べる。

ここで気づくことがあります。それは「先行研究をレビューするのに1つの章を割いている」ということです。研究や論文において、いかに過去の研究を把握した上で自分がどういうポジショニングで研究をしているかが重要となることがよくわかりますよね。

前半でも述べましたが、やはり、文系の研究を進めるにあたって最も大切なことは「先行研究を網羅的にレビューし、その上で抜け落ちている視点を指摘し、その穴を埋めるように自身の研究が領域に寄与すること」と言うことができます。

ですので、まずあなたがやらなければならないことは、研究をしようと思っている学問領域の先行研究を読み込むことでしょう。

しかし、ただ無闇に読んだところで、なかなか収束に向かわないのも事実です。では、どのようにすればよいのでしょうか。

ここで研究の「独自性」を考える

本記事の前半では、これから行われる研究について「新規性」と「独自性」が必要ということをお話ししました。実は「独自性」を考えることが、研究テーマ決めを収束させる近道となり得るのです。

今一度よく思い返していただきたいのですが、そこらの人にはないような、あなたにしかない研究リソースをお持ちではないでしょうか?

たとえば、実家が会社や、お店、施設などを経営している、あるいは経営している人と親しい、バイト先やインターン先の少し偉い人と親しい、なにかの団体やクラブに属している、SNSでは有名人である、アーティストとして活動している、動画配信をしていてファンも多い、ティーチングアシスタントをしている、出身が海外であり気軽に戻れる、海外にホームステイ先がある、付き合っている病や障碍がある、などなど。

上記はほんの一例に過ぎませんが、いかがでしょうか。活用できそうな研究リソースはありそうでしょうか。もし、ご自身に思い当たる節がなければ、指導教員の研究分野の本が研究室にたくさんある、など他者の研究リソースも思い出してみましょう。

中国人留学生の例

たとえば、私の研究室には中国人留学生がいましたが、当然のごとく彼女は、日本の大学で論文を書かなければならないという状況に置かれていました。日本語も危うい彼女が日本での研究において優位性を発揮するために、研究室の誰しもが「中国というリソースを使うべき」とアドバイスをしていました。

それは、中国に戻って、そのフィールドで研究をすることであったり、日本と中国を比較することで何かを理解しようとすることを指します。

筆者は生まれも育ちも日本ですが、彼女のように中国を調査のフィールドとして研究することは、かなりハードルが高く、かんたんに真似できることではありません。このようなところに、彼女は研究の独自性を見出したのです。

元プロ野球選手の例

また、有名人・芸能人の方で、ある程度お仕事をされた後に、有名私立大学の大学院で学び直す、といったことがよくあると思います。その方たちの論文をみてみると、たとえば、元プロ野球選手であれば、現役プロ野球選手に対してアンケート調査を行った、というものがあり、「プロ野球界の人脈という研究リソース」を存分に活用した研究を行っています。これは、元プロ野球選手でなければ、なかなか難しい研究ですよね。

このように「独自性」や「自身の研究リソース」から思考をスタートさせることが、研究のテーマ決めの第一歩となると筆者は考えています。

 

次に、リサーチクエスチョンを立てる

先ほど、章立てのお話しをした際に、表の中にチラっと「リサーチクエスチョン」という言葉を出してしまいました。なんのことだろうと思った方もいるかと思います。

リサーチクエスチョンとは、かんたんにいうと「その研究で明らかにしたい問い」です。研究とは大きなプロジェクトと捉えることができますが、私たちも人間ですから、熱心に取り組んでいるなかで没頭し過ぎて、目的を見失い、脱線してしまいそうになることも多々あります。

論文の読み手も同様に、膨大な研究結果を読んでいくなかで、ふと「この研究ってなにをしたくてやってるんだっけ?」と脱線しそうになります。そこで、論文の冒頭に、この研究で明らかにしたい問いを明示的に記しておき、研究結果を述べた後、最後に、冒頭に記した問いへの回答をもって研究をまとめる、ということをします。

リサーチクエスチョンを細分化する

リサーチクエスチョンは、最も大きな1つの問いである「メジャー・リサーチクエスチョン(MRQ)」と、それを細分化した約3つの「サブシディアリー・リサーチクエスチョン(SRQ)」で構成されることが多々あります。

わかりやすくいうと、大きな問い(MRQ)に答えるために、その問いを大体3つくらいに分割し、それぞれ(SRQ)に回答することで、大元の大きな問いの回答への助けとする、というものです。

独自の研究リソースを意識しつつ、それを使って明らかにできそうなことをイメージしながら、リサーチクエスチョンを考えてみてください。MRQは、素朴な疑問をシンプルな一文で表現すればOKです。たとえば「YouTuber は、いかに競争優位性を築いているか?」のような具合です。

なお、リサーチクエスチョンは一度決めたら貫くものではなく、研究を進めていくなかで、状況に合わせて柔軟に変更していくことが求められます。

ちなみに、社会学系の筆者の考える面白い研究とは、「今まで、○○だと思われていたけど、調査してみたらわかったが、実は○○であった」というような、今までの「当たり前」を覆すような研究です。

このような問いの立て方、思考、ものの見方については、過去にこんな記事を公開しています。

【概念編】「あたりまえを疑う」社会学的なものの見方
この記事のタイトルにもある「あたりまえを疑う」という言葉。どこかで一度は耳にしたことがあるフレーズだと思います。
【テクニック編】「あたりまえを疑う」社会学的なものの見方
前回の記事【概念編】では「あたりまえ」という言葉を切り口に、社会学的にものを見るとはどういうことなのか、そこにはどんな難しさがあるのかをご説明しました。

そして、文献を読み漁る

仮のリサーチクエスチョンが決まれば、それについてすでに書かれていそうな文献を探し、今までの研究では、どんなことが言われていて、どんなことが言われていないのかを精査していきます。もし、目ぼしい文献があれば、その文献の参考文献リストを閲覧し、芋づる式に関連文献を探していく方法がオススメです。

このように文献を読み進めていくなかで「きっとこれは引用するだろうな」という部分に付箋を貼ったりして、すぐに参照できるようにしておくと良いでしょう。また、そういった文献は、すぐに自身の論文の参考文献リストに書けるように、各学会や大学、研究室規定のフォーマットで文献名をメモしておくと、なお良いと思います。

お察しの通り、ここで読み漁った先行研究内容を網羅的にレビューし、まとめたものが、論文の第2章の「文献レビュー」の内容となります。

【卒論】文献レビューの進め方【気をつけるべきポイント解説】
「卒業論文で文献レビューをしなきゃ・・・」 「文献レビューってどうやって進めるんだろう・・・」 「文献や論文はどうやって入手すればいいんだろう・・・」

おわりに

ややボリューミーな記事となってしまいましたが、文系の研究においてどれも大切なことですので、迷った時にはまたここに立ち返っていただければと思います。

かんたんにまとめます。

前半では、文系における研究や卒論のテーマの決め方について、基礎的な考え方をお話ししました。まとめると次の通りです。

「研究は、先行研究からの積み重ね」ということを念頭に置きながら、過去の関連文献を読み漁る。その領域の全体像を意識しながら、まだ言及されていないこと(=穴)を探し、それを埋めるように自身の研究テーマを設定する。ただし、その研究テーマは、理論的にも実務的にも意義がある、と言うことができるようなものであることが望ましい。

後半では、よく「まずは研究テーマから考える」といった助言がありますが、それではなかなか収束しないため、「独自性」から考えはじめ、仮の研究テーマを決め、先行研究レビューをしながら柔軟に研究テーマを更新していく、という手順がオススメ、ということを、前半でお話しした文系の研究の基本的な進め方に絡めながら解説しました。

本記事をここまで読んでくださったみなさんの考えた研究テーマが指導教員に「いいね!」と言ってもらえることを願っています。

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